早期教育―問題点

はじめに

早期教育は今なお日本では賛否両論あるのですから、早期教育賛成派の意見があれば反対派の意見もあります。今回は反対派の意見を紹介してみたいと思います。

大脳生理学の観点から見た早期教育

生まれてから3歳までに脳の重さが急激に多くなることは確かなことですが、神経細胞の網である「構造」ができるだけであって、機能が発達するわけではないと言うことです。また、未熟な脳に特定の情報を送り込み過ぎてしまうと、これから学習するであろうことのために残すべき領域まで使ってしまうのではないのかと言うような意見もあります。乳幼児の脳に影響を及ぼすのは、広義の学習活動でいわゆる感動したり、体験をしたりすることなのです。

カード教材を使った記憶でも、本人の覚えるという自覚がない記憶や、それが不十分であった場合には、時間の経過とともに再生は難しくなるのではないかと言われています。カード教材を使った記憶も関連情報などと結び付けてインプットされている場合は、再生されやすいようですが。

早期教育の遊びと子ども本来の遊びとの違い

子どもの思考力は、本来遊びの中で想像力や創造力を豊にして頭脳を活発にするために発達していきます。また、子どもは集団で遊ぶことによって規則という概念を持つことができ、社会性を学んでいきます。集団の中では子ども同士の衝突もありますが、お友達の気持もわかるようになってくるなど多くのことを学んでいきます。

早期教育も教材を開発するにあたって遊びを取り入れてはいますが、子ども本来の遊びと早期教育の中での遊びでは、本質が違ってきます。子どもの遊びは本来、子ども達自身が自発的に作り上げていく世界であるはずです。しかし、早期教育の中の遊びの場合は、準備された遊びを受動的に受け入れることによってのみ成立する世界なのです。さらに、集団での遊びが減ることにより協調性に欠けてしまい、共同作業が苦手になる危険性もあると言われています。

また、早期教育はパターン化されているものに子どもが反応するという受身の学習・訓練が多いと言われています。そのため子どもが、受身になってしまうことによって、子どもの自発性や創造性の領域の発達が抑圧される危険性があります。

自己肯定の喪失と人間性の欠如

子どもは、親の期待に応えることができる子が良い子で、期待に応えられない子はダメな子というように、自己肯定感を喪失し、また、努力するのは自分のためではなくお父さんやお母さんなどの大人を喜ばすためであり、自分らしさを失ってしまう危険性があると言われています。早期教育の基本原則には、「もっと早く、もっと高く、もっと正確に」と言うものが存在します。これは、目に見える事柄のみを重要視するので、競争原理が働くことによって、「心が育つ」と言うような目に見えない過程をおろそかにしているのではないかと危惧されています。

また、早期教育機関では、IQの高い子どもが評価されることが多いのですが、IQは絶対評価ではなく相対評価です。早期教育機関のパターン教育と言うのは、そのIQを高めるためのものですが、機械的に考えずに答えていくことで頭の回転は早くなりますが、思考力が高くなっていくかは疑問視されています。

健全な早期教育のために

学校教育などへの不信感から自衛策として、早期教育に取り組むご両親の気持ちも理解できますが、宣伝文句などにつられることなく、冷静な判断が必要です。早期教育をする場合は、乳幼児期の子どもの発達段階に応じて子どもに見合った教育を無理なく進めていくことが大切ですし、親も子どもも楽しんで学習することが基本です。「お友達が始めたから」などのように他の子供と比較して、期待を過度に押し付けたり、親同士の競争にならないように気をつけないといけないのです。また、子どもはお友達との遊びの中で色々なことを学んでいくので、早期教育偏重にならずに、子ども自身の自発的な遊びの時間も大切にし、バランスが必要です。

早期教育も、家族と過ごしたり、お友達と遊んだりするときと同じようなレベルで楽しく取り組み、過度にならないようにすることが大切です。そして、お父さんやお母さんは早期教育を子どもの成長のためのひとつの選択肢として捉え、子どものためと言いながら自分達親のための早期教育にならないように気をつけることが必要です。